tk's diary

身体障害者(視覚障害2級)になりました

tkです。先日、身体障害者手帳の交付を受けました。このブログで過去何回も言及している通り、私は(重度)緑内障の患者であり、視覚障害による身体障害者への認定となります。

身体障害者手帳(下半分に書いてある障害名については後述)

画像の通り、障害等級は2級で、これは全6等級の内2番目に重い等級です。(因みに、知的障害の場合は全4等級、精神障害の場合は全3等級になります。)

 

このように私は(法律上の)身体障害者となったわけですが、正直なところ、心底ホッとしています。

私は9年ほど前から緑内障患者なのですが、この頃から明らかに健常者ではない状態でした。しかし、この頃は(法律上の)障害者になることができませんでした。この健常者でも障害者でもないという中途半端な立ち位置が、社会から見捨てられている感があって本当に嫌でした。

そんな私ですので、(法律上の)障害者となれたことは本当に嬉しいことです。しかも、障害等級2級ということで、私の視覚障害の状態が社会からかなり重めであると認めてもらえたことになります(身体の障害等級2級以上は重度身体障害者に位置付けられることが多い)。

 

あ、障害者に認定されたとはいっても、最近急に緑内障が悪化したとか、そういうわけではありませんよ! 今も2023年2月に眼科手術を行った病院(過去記事参照)に1~2ヶ月に1回程度通院し続けていますが、検査の結果は安定しています。

どのように障害者認定に至ったか、その流れを簡単にまとめておきます。

 

障害者認定に至る流れ

いつものように今年6月に眼科を受診したのですが、「(4月受診時の)視野検査の結果がこれだけ悪いのに視覚障害視野障害)にはあたらないのか?」と眼科医に尋ねたところ、急遽障害認定用の視野検査を行うことになりました。

この視野検査の結果をもとに障害認定用の診断書を書いてもらうのですが、これは(職場や保険会社に提出するような)一般的な診断書とは異なり、眼科医が書く必要があるものです。一般に医者は忙しいので診断書を書いてもらうのにも時間がかかります。私の場合は3週間程度かかりました。

この診断書を自治体(市区町村)に提出して、(私の場合)更に待つこと50日程度……

先日、晴れて身体障害者手帳の交付を受けることができました。結局、6月の眼科受診時から2ヶ月ちょっとかかってしまいましたね。

 

さて、今回の件で改めて感じたことなのですが、医者は患者のおかれている状況に対してかなり適当であることを改めて痛感しました。

過去に違う眼科医複数人(他病院含む)に「私は視覚障害視野障害)にはあたらないのか?」と何度も何度も聞いた経験があるのですが、いずれも否定され、障害者認定を受けたい旨を伝えても取り合ってもらえませんでした。

そういう意味で現在の担当医(今年3月~)には感謝しているのですが、この担当医にしても「もう障害者認定を受けていると思っていた」らしく、意外と適当であることが伺えます。医者も忙しいのは理解できるのですが、もう少し歩み寄ってほしいところです。

さて、この経験を踏まえると、(言うまでもないことかもしれませんが)病気をすべて医者に任せきりにするというスタンスはやはり間違っているのだと思います。医者はあなたのことを思ったより見ていません。自分から情報を収集し、主体的に治療に取り組むことが大切です。

障害者の認定を受けたいという方もいらっしゃるかもしれませんが、(障害基準を確認した上で)主治医に食い下がるなり、違う医者に意見を求めるなり、何らかの行動を取った方が良いと思います。

また、知識をアップデートしていない医者だと、現行法の障害基準について知識がない可能性もあります。視覚障害については2018年7月に制度改正があり、私が認定された自動視野計による基準(後述)もこの制度改正により認定されるようになったものです。自分から知識を取りに行くことが大切です。

 

障害者手帳を取得するメリット

障害者手帳を取得すると様々な支援が受けられるようになります。以下、ざっくりと解説します。

代表的なところだと、電車やバスの乗車料金の割引です。運行会社や障害種別・障害等級にもよるので一概には言えないのですが、例えばJRだと、一定以上の障害等級であれば障害者本人・介助者が半額になります。ただし、障害者のみの単独乗車だと100kmを超える区間でなければ半額にならないようです。

タクシー料金については手帳を見せれば原則1割引です。加えて、自治体によっては福祉タクシー券を発行しており、障害等級が一定以上であれば貰えることが多いようです。福祉タクシー券を使うと、一定回数・一定金額まで無料になります。

電車・バス・タクシーといった交通機関だけではなく、医療費についても支援を受けられます。これも自治体によるのですが、(障害等級が一定以上であれば)通常の3割負担よりも少ない自己負担(1割負担とか300円の定額負担とか)で保険診療を受けられるようです。一般に障害者は医療費が高くなりがちなので、嬉しい制度ですね。

また、上記のように金銭面の支援だけでなく、就労面の支援もあります。障害者雇用促進法という法律があり、一定基準を満たした企業に法定雇用率以上の人数の障害者を雇用することが義務付けられています。会社が障害者を雇用するインセンティブがあり、職に就けないリスクが小さくなるわけです。

以上、こんな感じに支援の枠組みを並べてみましたが、勿論これだけではありませんし、まだ私も把握していない支援もあるかと思います。障害というハンディキャップを背負っている以上、使えるものは何でも使って生き延びていくのが私たち障害者の生存戦略であると思います。

 

視野障害についての解説

ところで、恐らく殆どの方は視野の障害と言われてもピンと来ないのではないでしょうか。やや踏み込んだ話にはなりますが、視野障害の認定について少し解説しておこうと思います。なお、視力と視野の違いについては過去記事で解説しましたので、そちらをご参照ください。

2級の視覚障害の基準は以下の通りで、いずれかに該当する必要があります。1~2が視力(勿論、眼鏡・コンタクトで矯正した視力)による基準で、3~4は視野による基準です。

1. 視力の良い方の眼の視力が 0.02 以上 0.03 以下のもの
2. 視力の良い方の眼の視力が 0.04 かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの
3. 周辺視野角度(I/4指標による。以下同じ。)の総和が左右眼それぞれ 80 度以下かつ両眼中心視野角度(I/2視標による。以下同じ。)が 28 度以下のもの
4. 両眼開放視認点数が 70 点以下かつ両眼中心視野視認点数が 20 点以下のもの

私は4の基準、つまり視野による基準に該当します。私は良い方の眼の(矯正)視力が0.9程度あるので、実は1~2の視力による基準には該当しません。

視力による基準と比べて視野による基準は分かり辛いかもしれませんが、いずれも障害認定用の視野検査の結果を数値化したもので、3がゴールドマン視野計(動的視野計)、4が自動視野計(静的視野計)という機械による基準です(緑内障患者の方は馴染みがありますよね)。

ここでは、私が認定された4の基準について解説します。

 

両眼開放視認点数は、自動視野計を用いてエスターマンテストというテストにより測定します。

エスターマンテスト。縦軸・横軸は視野中心からの角度を表す。(図は自治体HPより引用)

両目で視野中心部分(図の0度線が交わるところ)を見つめた状態で、黒い点で表された部分が一点ずつ光るので、中心部分を見つめたままで光がどの程度見えるかを120点満点で測定した点数が両眼開放視認点数です。

このテストでは、視野中心から左右方向に90度程度、下方向に60度程度、上方向に45度程度の視野を測定します。視野欠損のない健常者だと120点満点になりますが、視野欠損があると見えない光が出てきて点数が下がります。

 

両眼中心視野視認点数は、こちらも自動視野計を用いて、10-2プログラムというテストにより測定します。

10-2プログラム。縦軸・横軸は視野中心からの角度を表す。(図は自治体HPより引用)

図の見方は先程と同じですが、こちらは片目ずつ、視野中心付近(上下左右10度程度)のみ測定します。点数は68点満点で、左右それぞれで測定し、

点数=(3×相対的に見える方の眼の点数+相対的に見えない方の眼の点数)/4

によって最終的な点数を計算します(見える方の眼の点数が重視されているということです)。こちらも視野欠損のない健常者だと68点満点になりますが、視野欠損があると見えない光が出てきて点数が下がります。

 

この2つの点数を測定し、下記の表で障害等級を決定します。

視野による基準の視覚障害等級表

上記したように、両眼開放視認点数が 70 点以下かつ両眼中心視野視認点数が 20 点以下だと2級になるわけですね。因みに、視野による基準は1級にはありませんから、2級が最も重い区分になります。

なお、私の点数ですが、両眼開放視認点数が 53/120 点、両眼中心視野視認点数が 5/68 点でした。5点は酷過ぎて草(草じゃないが)。

 

というわけで、ここまで色々書いてきましたが、この記事は身体障害者手帳を取得した以上の趣旨はありません。

(法律上の)身体障害者にはなりましたが、私は私であり、何が変わったという訳ではありません。これからも変わらぬご愛顧(?)をお願いできればと思います。

以上です。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!